Ignition, Sequence, Start
(c) Mitsuko Komuro

 

今夜 この手の中に 握り締めていた
見えないナイフをかざそう
このまま身動きできずに あきらめはしない
ひた走る 誰かの足音 壁の向こうに
あるはずのものと あるはずのないものを 見極めよう

もう一度自由になる 無傷じゃ越えられない
Break into the dark. Break into the stark.
(暗闇に突き進め 荒地へと踏み出せ)

闇の出口で待ち構えてるもの 恐れちゃいない
この胸 explosion 焼き尽くしたい今

大地を守るテレスの力と 月の女神ディアスのまなざしで
あがき続ける僕を 見てる君がいる あの日に
君の目から 流れ落ちた涙 忘れない I know you're crying. (君は泣いているね)

Just breaking through the wall. (壁を突き抜けて) 転がって つまずいて
Now I am breaking for the goal. (ゴールに向かって進もう) へたばって 倒れても
ここにいる ここにいるよ

予告なしで 始めよう
無謀なほど 楽しいさ
君がいるから We are ready to fight. (戦う準備はできた)
明日があるから We are ready, tonight. (今夜始める)
ぎりぎりリミットまで Now we're ready to fight.
疲れ果てるまで Now we're ready tonight.

痛みを癒すウェスタの寝床で 戦いの神マルスの夢を見る
目隠しの綱渡り 手がかりは君だけ 何度も
救われたよね 無口な優しさに 忘れない I know you're crying.

Just breaking through the wall. 転がって つまずいて 走り出して行く
Just breaking through the wall. 転がって つまずいて
Now I am breaking for the goal. へたばって 倒れても
走り出す 走り出すよ

(Ignition Sequence Start. Break into the dark.)
(Ignition Sequence Start. Break into the stark.)
予告なしで 始めよう
無謀なほど 楽しいさ
君がいるから We are ready to fight.
明日があるから We are ready, tonight.
ぎりぎりリミットまで Now we're ready to fight.
疲れ果てるまで Now we're ready tonight.
Ignition Sequence Start. Break into the dark.
Ignition Sequence Start. Break into the stark.
君がいるから We are ready to fight.
明日があるから We are ready, tonight.
ぎりぎりリミットまで Now we're ready to fight.
疲れ果てるまで Now we're ready tonight.
やり遂げてみせる
やり遂げてみせる
I know you are crying
I know you are crying.
Ignition Sequence Start
Ignition Sequence Start
Ignition Sequence Start. Break into the dark.
Ignition Sequence Start. Break into the stark.

作詞 小室みつ子
作曲 小室哲哉


TMの新曲です。デモを聴いた途端、わくわくしました。カッコいい楽曲です。その代わりめちゃくちゃ難しかったですけど(^^;;; プログレ+インダストリアル・ロック…かな?サビのリズムはビッグビート系のようでもあり。とにかく構成を理解するには、譜面に起こさないと…ということで、てっちゃんの仮歌を解読。5つのメロディ・パターン、突然雰囲気が変わるアレンジ。…果てし無い気持ちになりました…(実は泣きそうだった)。リズムのノリだけで終われない。かといって、ストーリーを語る感じでもない。疾走感のある個所と、優しげでロマンティックな個所がミックスされて、魅力的な楽曲です。それに合った言葉、イメージを見つけられるだろうかと緊張感も倍増でしたが。
N.A.S.A.でロケット打ち上げの時に使う言葉がすでに、タイトルとして決まっていました。偶然にもサビのメロにばっちりその言葉がハマってよかった。タイトルを聞いた時は、宇宙的ファンタジーかなあと思ったんだけど…なんとなく、それだとまんまな気もして…。特にAメロは閉塞感がある感じなので、宇宙のイメージまで行きつけませんでした。書き直して数日…で、こんな感じになりました。イメージを限定する小物は悩みぬいて、結局ローマ神話。神話の言葉を使うのは、私としては初めてなんだけど、TMでは初めてじゃなかったですね。てっちゃん作詞ですでに使われています(と、後で気付いた(^^;;;)。
スタジオで、木根ちゃんウツと一緒に作業をしました。曲にどう言葉をハメるのかは、作詞した私しかわからないので(その時点でこの曲を100回以上聴いてるのは私だけだったし、特にこの曲は壮大なパズルみたいで、言葉を載せてやっと構成がわかる感じだったので)、結局仮歌を私がやりました。男性のキイで無理矢理歌っているので、自分で正太郎くんヴァージョン(かなり情けなくて笑える)と呼んでます(^^;;; ホンモノヴァージョンは、ウツの声が若々しくてカッコいいです。葛G(葛城哲哉さん)のコーラスでますます男っぽくなりました。ハワイでのミックスで入った間奏のギターが、さらに骨太なロックっぽさを出していて大好きです。後、ドラム、これはすばらしいっす。最後の最後に入れて、こんだけたたけるのは、さすがTOTOのドラマー。ひれ伏します。関係ないけど、Boom Boom Satellites のドラマーもすごいっす。

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Major Turn-Round I First Impression
(c) Mitsuko Komuro

 

青く冷たく 澄んだ空の下
あらゆる場所が カオスに沈む

人影のない 公園のベンチに
絶望が 腰掛けてる
心の中で 呼び続けいる
この声を 聞いて

そむけてる目と ふさいでるその耳
どうしたら 届くのか
広大なのに 閉じているこの世界
ただ君と つながりたい

Right!
Under the broken sky, (壊れた空の下で)
I don't know how to fly. (飛び方がわからない)
Under the broken sky,
I don't know how to fly.

夢の中で 死にかけてた
目覚めた時 抱きしめてくれ
イーストサイドで 最後のキス
今 ウェストサイドで 最初のミス

部屋の中は どしゃぶりの雨
ベッドの中で のたうつ夜
君のドアは 優しくいつも
目の前で ほら 開いているのに

心が磨滅しないうちに
明日を見失わないうちに
Let me reach, let me kiss (たどりつかせて キスさせて)
Let me reach, let me kiss

Uhooo・・・Good-bye, today, (今日よ さよなら)
You know, we can't replay. (リプレイできないね)
過ぎた日は もう二度と
繰り返せはしない・・・
Good-bye, today, (今日よ さよなら)
We have to say・・・ (そう言わなくちゃ…)

In a cage, in a cage, I'm in a cage. (僕は檻の中 僕は檻の中)

無理矢理笑って Midnight TV show (真夜中のテレビショー)
深刻な顔した famous anchor man (名のあるアンカーマン)
今夜のワインは Red or White? (赤かい白かい)
右から左に Pain is gone. (痛みは消える)

窓から暗闇 Say Hello
イカれた叫びで Say Hello
めちゃくちゃ ズタズタ No time
おまえの電話は No time

Good-bye・・・
Good-bye・・・
Good-bye・・・
Good-bye・・・

やましい目をして キスした Babe
お互い様さと Hold you tight (きつく抱きしめる)
汚れているかい knocking on the door (ドアをノックして)
間違ってるかい Tell me what you think (どう思うのか言ってくれ)

おまえにだけなら Judge me (僕を裁いて)
裁かれてもいい Judge me
あの夜以来さ broken sky (壊れた空)
何かが壊れた broken sky

転がり続けて さまよい続けて
惑わすすべてに Good-bye
一晩中でも ひきずる想いに
Good-bye

Good-bye・・・
Good-bye・・・
Good-bye・・・
Good-bye・・・

In a cage, in a cage, I'm in a cage.

やましい目をして キスした Babe
お互い様さと Hold you tight (きつく抱きしめて)
汚れているかい knocking on the door (ドアをたたいて)
間違ってるかい Tell me what you think (どう思ってるのか教えてくれ)

おまえにだけなら Judge me (僕を裁いて)
裁かれてもいい Judge me
あの夜以来さ broken sky (壊れた空)
何かが壊れた broken sky

missing you・・・ (おまえが恋しくて)
missing you・・・
missing you・・・
missing you・・・

窓から暗闇 Say Hello
イカれた叫びで Say Hello
めちゃくちゃ ズタズタ No time
おまえの電話は No time

missing you・・・
missing you・・・
missing you・・・
missing you・・・

作詞 小室みつ子
作曲 小室哲哉


まさにプログレならではの構成。同じメロが出てこない。次々と変わるテーマ。歌詞的には二曲分です。音が重なるたびに、家にMDが送られてきて、このFirst とThird だけで、何枚もMDがあります。しかし、最後の最後までメロがつかない。んで、てっちゃんに、「なんか言葉を書いて送って」って言われました。しかし、メロのないオケを聴いて、どうやって言葉を考えればいいんじゃーと悩み。とにかく、英語日本語混ぜて、テーマみたいな散文を送りました。その言葉を分散的に遣いつつ、てっちゃんが最後にメロを歌って入れました。しかしThird (も二曲分くらいある)と合わせて、メロができあがって来たのが、仮歌の1日前。てっちゃんの入れ込み用はすごかったので、創作部分で遅くなるのは仕方ないことですが。First と Third を一晩でという状況になって、さすがに泣きそうになりました(木根ちゃんには実際 ふえ〜と泣きを入れた。木根ちゃんに「みっこちゃん、ごめん。死んでやって」って言われた(^^;;; )。いずれにしろ、やらなくちゃいけないものです。それがプロだもんね。木根ちゃんにもウツにも励まされて、意地でやりました。作詞やってきて、一晩で4曲分歌詞を書くってのはさすがに初めてでした。まずはデモのてっちゃんが歌う仮歌から、メロを楽譜に取るだけでも、四苦八苦。思うまま自由に歌っているから、複雑で解読に困難を極めました。結局のところ Third まで一晩で行きつかず、まずは First を書き上げてスタジオに行って、自分で仮歌入れて、また帰って徹夜で Third を書き上げました。もう、この年齢で二晩徹夜は無謀ってのが身にしみてわかったっす。でも、書いていくのは楽しかった。特に、声にディストーションが入っている個所は、かなりサウンド的にも好きで、おもしろかったです。歌入れのディレクションもしました。ここまでTMのRECに関わったのは初めてかな。音楽が好きだから、へろへろでもスタジオでは楽しかった。そして、作り上げた時は達成感があって幸せでした。

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Major Turn-Round III Third Impression
(c) Mitsuko Komuro

 

閉め切っていた窓 夜更けに開く
脱ぎ捨てられたまま 椅子にしおれた Dress
愛と闇の残骸 みつめ続けて
孤独な嘘にただ 逃げ込んでいた

もう留まれない 壁の内側
ガラスのショウケース 過去には飽きた
失った時間今 夜空に解き放て
新しいぬくもり 抱きしめるのさ

Turn round, turn around
Turn round, turn around
Turn round, turn around
Turn round

失った時間今 夜空に解き放て
新しいぬくもり 抱きしめるのさ
Turn round

何千年費やしても
語り尽くせない想い
ふたり感じ合ったすべて
ふたり与え合ったすべて
I never forget. (決して忘れない)
I never forget.

Something new, something good (何か新しいもの 何か良いこと)
Something new, something good
Something new, something good
I can find it out. (見つけ出せるさ)
Something new, something good
Something new, something good
Something new, something good
I can find it out.

I can find it out.
I can find it out.

woo・・・Turn round
woo・・・Turn round

引き寄せられて 同じ時間駆け抜けて
傷んだ胸を合わせた
同じ夢をたどってた
Was it true? Woo was it true? (あれは真実だったの?)

Never be the same, never be the same (決して同じでいない)
Never be the same, turn round
Never be the same, never be the same
Never be the same, turn round
Do that, I will do that,
Turn round

Never be the same, never be the same
Never be the same, turn round
Never be the same, never be the same
Never be the same, turn round
Do that, I will do that,
Turn round

Turn round
Turn round
I will do that.
I can do that.
Turn round

作詞 小室みつ子
作曲 小室哲哉


Third のメランコリーなメロ。そして最後は大団円という感じの大きな終わり方。First から、最初は閉じた世界でのたうっている心が、少しずつ外への開放に向かうっていう、一応起承転結を考えて書きました。サウンドを生かすために、やっぱり英語だらけになっちゃいましたが…。「Something new …」の部分を歌ってるのは、葛G(葛城哲哉)さんです。太くて奥行きがあって雰囲気のある声。はまってます。スタジオでは、木根ちゃんとウツ、葛Gのおしゃべりで笑いが絶えなく。寝不足なのに、けっこう大笑いしたりしながら、なごやかに進行しました。なんだか、高校生が同級生同士でバンドをやってるみたいな気持ちに近かった。しかし、関係ないけど、いつもふと気付くと、スタジオ作業してて、女は私ひとりってのが多いです。メンバーもスタッフも男性ばかり。普段全く意識してないので、ふと「そういや…」って思うことがある。元々共学の学校にしかいなかったので、男も女も関係なく意見出し合ってバリバリ仕事するのが普通になっているので、気になることは皆無ですが。昔から男っぽいね、芯が太いって感じだねって言われるのも、共学体験のせいかなあ。

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Pale Shelter
(c) Mitsuko Komuro

 

白く乾いた 道の向こうに
荷台を引きずる 痩せた馬が行く
残り少ない コイン数えて
壁際寄りかかる 旅人たち

あせた絹のシャツ ひび割れたレンガ
冷ややかな風と 時は過ぎて行く
探し続けた shining El Dorado (輝く理想郷)
約束の場所は どこにも みつからない

用心深く 言葉選んで
微笑み続けた 青白い都会
薄い城壁 囲む Pale Shelter (青白い避難所)
もう守られて 生きては いられない

壊れた心で 間違いばかりで
どこへ向かうのか あてもないけど
Get out of the shelter. Get out of the shelter. (シェルターから出ていけ)
I will be on my own. (ひとりきりになるんだ)

いつか晴れた日に また会おうと言った
誰かの言葉を 信じ続けたい
疲れた身体 包んでくれた
おまえが今 あの町に いなくても

壊れた心で 間違いばかりで
どこへ向かうのか あてもないけど
Get out of the shelter. Get out of the shelter.
I will be on my own.

Looking for something anyway・・・ (とにかく何かを探して)
Ah・・・I'll be walking. (歩いているよ)
Ah・・・I will be on my own.
Looking for something anyway・・・
Ah・・・I'll be walking.
Ah・・・I will be on my own.

Looking for something anyway・・・
Ah・・・I'll be walking.
Ah・・・I will be on my own.
Looking for something anyway・・・
Ah・・・I'll be walking.
Ah・・・I will be on my own.

いつか晴れた日に また会おうと言った
誰かのあの言葉を 信じていたい

作詞 小室みつ子
作曲 木根尚登


この「MT-R」のコンセプトというか、世界観は、「閉じられた世界、場所、閉塞状況」みたいなものだったので、この曲もその世界観を守りつつも、曲調でイメージするのは外側というか、開かれた場所だったので、都会=青白い避難所みたいな定義にして書いてみました。で、最初に聴いた時から、どうしても南米の乾いた空気とうらぶれた街の風景が浮かんで、それが頭から離れなくて、そういう風景にしてしまいました。ウツはこの曲が一番好きみたいで、ライブでもかなりノって歌ってましたね。苦労して書き上げた歌詞を、ライブに行って客観的に聴けるその瞬間がとても幸せです。しかし、このMT-R は覚えるのも大変だったでしょう。ドラムの山田わたるさんもスタジオで全曲聴いて悩んでいたし、ウツもよく歌いこなしたなあって、あらためて思います。
ところで、このアルバムで、葛Gと親しく話すようになったんだけど、葛Gは明るいシモネタ好きです(笑) TM のスタジオでシモネタ聞いた体験がなかったので、「なんか新鮮だ(笑) メンバーはそういう話しないよ」って言ったら、木根ちゃんが「一応、女性の前だから、俺たちは遠慮してたんだよ」と、葛Gをフォローしてましたっけ。おお、一応女性と見られてたのねと驚いた……というか、メンバーが気を遣ってくれてたのが意外でした。何しろ高校、大学と男性が多いバンカラなところで生きていて、名前は呼び捨てだわ、激しい議論をしては容赦なくたたかれるわ、シモネタは飛び交うわってのに慣れていたので、メンバーの紳士なところにいつも感心してた私です。TM のメンバーは品があって、育ちがいい感じです。

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We Are Starting Over
(c) Mitsuko Komuro

 

懐かしい街角 窓の向こう
近づいてきたよ
バス停に立った 君の姿
あざやかに 浮かぶ
男の子みたいに 髪を切ったね
だけど まなざしは 変わらない

どんな顔して君に 伝えよう
I've just come back to you
(君に戻ってきたよ)
ふたり 2年前に誓った約束さ
We are starting over
(もう一度やりなおそう)
あの日 それぞれ選んだ あしたを試して
君の場所に 戻ってきた

ゆずれないままに この街出た
わがままな僕と
ほんとの気持ちを 見せないまま
見送った君が
言葉に出さずに 交わしたものは
決して サヨナラじゃなかった

バスを降りて 無口に向かい合う
I've just come back to you
少し とがめるよな微笑み 胸しみる
We are starting over
君は 何度泣いただろう 怒っていたかな
さあ もう一度 出会いなおそう
はじめから・・・

作詞 小室みつ子
作曲 木根尚登
編曲 小室哲哉


10月末日フリーダウンロードサービスで配信されたTMの新曲です。といっても、これは、1999年に木根ちゃんのソロライブのテーマ用に書いた曲でした。ただ、「ウツが歌ってもいいような感じに書いてね」と木根ちゃんから言われていました。TMのアルバムに入れるかどうか、その時点ではわからなかったんだけど。木根ちゃんらしい美しいメロディライン、大好きな曲です。だから、TMの新曲になってよかったです。でも、木根ちゃんヴァージョンも、作ってもらいたいですけど。
ファンの方には、「Nights of The Knife」のアンサーソングですかって、尋ねてくる人が何人かいましたが。「Nights…」に出てくる男性と女性の関係性は、いろんなことに立ち向かったり、いどんだりしつつも、悩んだり迷ったりする彼を、離れることなく、いつもそばにいてみつめている大人の彼女……という感じです。でもこの歌詞の女性は、私の中では、どちらかというと、「Girlfriend」「Time Passed MeBy」の歌詞の中にいた女の子が成長した姿が、見えていました。

勝手にストーリーを作ってしまえば、幼馴染みのふたりがいて、女の子は子供の頃から男の子と一緒に遊んで走って、泣いたり笑ったり、はりあったりする、強がりで弱音を吐かない芯のある女の子。でも、成長するにしたがって、自分だけの世界を作り上げていて、そばで見ている男の子は、戸惑ったりしながらも、彼女をある種の「同士」みたいな友情と、恋心がまじった気持ちを抱えながら、変わって行く彼女をみつめてる。そしていつかホンモノの恋になって…。でも、互いに成長すると、男の子が自分だけの追いかけたいものをみつけて、育った町を出ていく。決して涙を見せず、ほとんど自分の気持ちを語らずに見送る彼女…。彼女には彼女の夢が別にあったから…。ふたりはそれぞれのあしたと自由を選んでく…。――というような10数年くらいにわたるストーリーが、ぼんやりと私の心の中にあって、こんな歌詞が出てきました。…と、ここまで書いてなんですが、このストーリーは、私の心の中だけのもので、聴く人たち、それぞれに、想像してもらえばいいんです。歌詞は、物語の中のひとつのシーンでしかないので…。

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Message
(c) Mitsuko Komuro

 

Your smile 前髪を なびかせ 立つ君
Your style 街の影 見渡せる ブリッジで
あらゆることに意味がありそうで
どれにも 意味を見出せない
道に迷いそうさ 今夜は そばにいて

Everything you see is a message
(君が見るもの、どれもがメッセージ)
文字と声とイメージ
この世界溢れ続けてる
How could I choose it? Choose it? Choose it?
(どうやって選べるのだろう? …)
Everything you see is a message
真実の言葉だけ
聞きわける 力が欲しいのさ
You can free me, free me, free me、free me
(君が僕を解き放つ…)
I believe in what you believe in
(君が信じるものを信じるよ)

(Uhoo…you're the only thing I ever
trust and love, you know, baby
(君だけが 僕が信頼して愛するものさ)
Don't you know that? Don't you know that?
(気付いてないのかい? 知らないのかい?)

One day 君が微笑み そっと開いた あの窓
And just one night ためらいながら ふと差し伸べた その腕
それぞれ確かな 君のメッセージ
言葉などいらないね
ひとつ ひとつにいつも 励まされてたよ

Everything you see is a message
饒舌な街の passage
(変転、出来事)
惑わされず 自分をつかむ
How could I choose it? Choose it? Choose it?
Everything you see is a message
みつめてて 君だけは
もう一度 走り出す僕を
You can free me, free me, free me, free me
I believe in what you believe in

Uhoo…Every thing, every thing
Now, can't you see?
(すべてのもの…すべてのもの…今、君は見えないかい?)
Just listen to the voice
(ただその声を聴いて)
I carry on, I carry on, I carry on
(続けるのさ 続けるのさ 続けるのさ…)

Everything you see is a message
文字と声とイメージ
この世界溢れ続けてる
How could I choose it? Choose it? Choose it?
Everything you see is a message
真実の言葉だけ
聞き分ける 力が欲しいのさ
You can free me, free me, free me free me
I believe in what you believe in
Everything you see is a message
饒舌な街の passage
惑わされず 自分をつかむ
How could I choose it? Choose it? Choose it?
Everything you see is a message
みつめてて 君だけは
もう一度 走り出す僕を
You can free me, free me, free me free me
I believe in what you believe in

作詞 小室みつ子
作曲 小室哲哉
編曲 小室哲哉


5月のある日にこの曲がMDで手元に運ばれてきました。アルバムの中では二番目に作った曲です。待望のTMの新曲…。てっちゃんのメロディの中でも、一番魅力あるセンチメンタルな響きのリフで始まる、ミディアムテンポのこの曲を何度も何度も聴きながら、テーマを探しました。…そして、たどりついたのは、私自身、いえ、この世界に生きている誰もがさまよい込むであろう情報のラビリンス…。聴覚的にも視覚的にも世界に溢れている情報の多さ…文字だけではなく、閉じたドアも、倒れた椅子も、誰かのふとしたしぐさにも、ともされた明かりにも…そこには、誰かが残したメッセージがある。そのメッセージを、果たして誰もがその意味通りに受け止めているのだろうか…。その中で、自分が求めているもの、自分が信じられるものを探し出すことができるのだろうか…。それを書きたいと思いました。
シンプルそうでいて、複雑でノリのいいリズムに、言葉をはめ込むのはちょいと苦労しました。フェイクの魅力を残すためにも、結果的に英語がかなり多くなってしまいました。わかりやすさこそが大事だと思うのですが、日本語で試してみて「うーんだめだあ」とメゲた個所もあります。本番の歌入れはハワイのスタジオで行われましたが、その前に、木根ちゃんとふたりで、言葉のノリをわかりやすくするために、明け方までプリプロ(仮レコーディング)をやりました。ああだのこうだのと、実験して、楽しかったです。木根ちゃんが歌って、私がコーラス。そのMDは、いい思い出です。今聴いても、しみじみといいメロです。

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Cube
(c) Mitsuko Komuro

 

分厚い雲に さえぎられた太陽
錆付いたドア 打ち鳴らしてる誰か
おびえた目をした 子供を映すニュース
密室みたいに 世界は息苦しい

部屋にあるのは 砕けた胸の破片
欲しいのはただ どこかにいる君だけ

壊れた空に 叫ぶ
Listen to me, listen to me, listen to me. (僕の声を聴いて)
So, are you there? (君はそこにいるの?)

届くはずない 声で
Come back to me, come back to me, come back to me. (戻ってきて)
So, are you there?
(Uhooooo, I'm in the cube・・・) (僕は立方体の中…)

I don't care what's going on out of my empty cube.
(この空っぽな立方体の外で何が起こっているかなんてどうでもいいんだ)
I don't care what's going on out of my tiny and empty cube・・・

作詞 小室みつ子
作曲 木根尚登


ロックテイストの3拍子の曲。木根ちゃんのメロもすばらしいし、後半のてっちゃんのハモンドもカッコいい。聴いた途端大好きになった曲。このアルバムでは「壊れた空」という言葉を何度か使っています。私にとってのひそやかなキイワードとして、使いました。プログレという方向性が決まってから、初めて書いた曲なので、一番閉塞したところから始まってます。昔ながらのプログレの世界観というのは、閉塞してるだけじゃなくて、アイロニックで、虚無的で、偽悪的なものが多く、昔のプログレを聴きなおしたりしましたが、あまりにTM らしくなく、最初はそのプログレの世界観とTMらしさを結びつけるのに、かなり悩みました。

映像的に俯瞰から始まってズームインしていく感じ。空→どこかのビル→部屋の中の風景→主人公の心というふうに。言葉が少ない曲なので、淡々と 風景を書いていくのがいいと思って。で、メロがオクターブ上に上がる瞬間に初めて情感を出すようにしてみました。ライブで、その部分で声を張り上げるウツの歌い方が、とってもよかったです。音域が広めの曲なので、歌い上げたウツはえらい。木根ちゃんの名曲ですね。

しかし、アルバム全曲作詞は、TM の歴史の中でも始めてて、スタジオワークへの関わり方も深かったので、本当にいろいろな意味で思い出が深いアルバムとなりました。この年の7月か8月頃だったか、木根ちゃんから電話があって、「TMのアルバムやるよ。みっこちゃんに全曲頼むから」って言われてびっくりして、途中ではてっちゃんにメールして、「私ひとりでやるの、自信ないよ…」って弱音吐いたりしてたんだけど、作り上げることができて、ほんと、良かった…。でも、もう一度やれって言われると、ちょっと……悩むかも (^^;;; TM の作詞はコンセプトありきなので、おもしろい反面、挑戦と試練の仕事でもあるので、毎回、もう次は無理かも…って思います。しかし、すばらしいアルバムに参加できて光栄でした。

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